プロローグ〜『簿記』ってこんなもの〜

1級ファイナンシャルプランニング技能士

CFP認定者

吉 川 幸 男


みなさんは、『簿記』という言葉を聞いてどんな印象をお持ちになりますか?


いろんな人に聞いてみると、こんな言葉が返ってきそうです。


例えば、会社勤めをしている社会人の人に聞いてみると、「経理の人がやっているやつでしょ。なんか、やたらこまかくって、めんどくさそうだよね。そういえば大学の授業にそんなのあった気がするな。」

あなたが、大学で『経済』か『経営』を勉強してこられたなら、たぶんあったはずですよ。


例えば、『商学』関係の大学に行っている女子大生のお姉さんに聞いてみると、「『借方』とか、『貸方』とかあって、試算表なんか作るんでしょ。でも、試算表があわないとイライラしちゃう。」

試算表があわないときは、プロだってイライラします。でもあれって合わせ方のコツがあるんですよ。ただし大学の先生は、教えてくれないでしょうね。


例えば、普通科の高校に行っている女子高生に聞いてみると、「商業科に行っている友達が、『いつも難しくてわかんない』って言ってるやつでしょ。」

でもって、その友達に聞いてみると、さっきの女子大生のお姉さんのような答えが返ってくるでしょう。


なんか、『簿記』って世間の人から難しいものと思われているような気がしますが・・・・・


でも、みなさんだっておそらく『簿記』をした経験は、お持ちだと思います。

「えっ」なんて声が聞こえてきそうですが、思い出してみてください。こんな経験は、ないでしょうか?

子供の頃、お母さんから、「無駄づかいしちゃダメよ。きちんと『こづかい帳』つけなさい。」って言われてしぶしぶつけたこと・・・・・

主婦の方だったら、この不景気な世の中、『家計簿』つけている方だってたくさんみえるはず・・・・・


『こづかい帳』も、『家計簿』も、立派な『簿記』です。でも、世間一般に言われている、『簿記』とこの二つは、若干違うんですが・・・・・


「やっぱり、違うんじゃん。」


まあ、まあ、ちょっと待って、もう少し聞いてください。『こづかい帳』とか、『家計簿』は、『単式簿記』と呼ばれています。

それに対して、世間一般に言われている『簿記』は、『複式簿記』と呼ばれるものです。

どちらも基本は、同じ。財産が、増えたり、減ったりする動きを帳簿につけていくのです。


では、どこが違うのでしょうか?


『単式簿記』は、単純な財産(おもにお金です。)の動きだけを帳簿につけていきます。

それに対して、『複式簿記』は、財産の動きのほかに、財産がどこからきたのか、ということも帳簿につけていきます。


財産には二つの姿が、あります。一つは、財産そのものの姿、一つは、その財産をどのようにして、手に入れたか。


もう少し具体的に説明しましょう。

例えば、ここに1万円札があります。みなさんの目に見えるのは、1万円札そのものの姿ですよね。

でも『複式簿記』の考え方では、もう一つの姿も見るんです。

この1万円札は、どのようにして手に入れたんだろうかって。

つまり、

    働いて手に入れたのかな?

    誰かに借りて手に入れたのかな?

                   ってな具合に。


少しは、わかっていただけたでしょうか?

『複式簿記』の基本的な考え方は、こんなものなんです。


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© 2006 Yukio Yoshikawa