第1回〜簿記の目的と作業の流れ〜

1級ファイナンシャルプランニング技能士

CFP認定者

吉 川 幸 男


ところで簿記の目的、すなわち帳簿をつける目的っていったいなんでしょうか?

例によっていろんな人に聞いてみましょう。

今回は、商店街でいろんなお店の経営者の方に聞いてみます。


まず、魚屋さんどうぞ。

「金銭出納帳をしっかりつけて、手許にいま現金が、いくらあるか知っておくためじゃないの。うちみたいな現金商売は、そのあたりしっかりやっとかないと、税務署がねー。」


現金の残高を把握しておくことは、とっても大切なことです。

それ以外に、掛けで売ったときの代金未回収分の把握、逆に掛けで仕入れたときの代金未払い分の把握、銀行などからの借金の残高の把握なども大切ですね。


では、八百屋さん他にないですか?

「いくら儲けたか知るためだよ。」

そうですね。いくら儲けたかがわからなければ、商売をやってても張り合いがないですよね。


いま、魚屋さんと八百屋さんが言われたことが、簿記の主な目的です。

ちょっと専門的な言葉に置き換えてみましょう。


魚屋さんの言われた「現金の残高を知ること」に代表される「財産や借金の残高を把握すること」は、簿記の世界で「財政状態を明らかにする。」と言います。

「財政状態」は、「貸借対照表」という書類によって表されます。


八百屋さんの言われた「儲けを知ること」は、簿記の世界で「経営成績を明らかにする。」と言います。

「経営成績」は、「損益計算書」という書類によって表されます。


毎日、帳簿をつけることは、「貸借対照表」や「損益計算書」を作ることで一区切りとなるのです。


それでは毎日、帳簿をつけることから「貸借対照表」や「損益計算書」が出来るまでの流れをご説明しましょう。

個々の言葉の意味等は、改めて説明しますので、ここでは簿記の作業の流れを大まかに覚えておいて下さい。


簿記の作業の流れ


(1) 取引の発生(財産を増やしたり減らしたりするような行為(取引)が発生します。)


    ↓


(2) 仕訳(この取引を仕訳という簿記独特の言語に置き換えます。)


    ↓


(3) 元帳へ転記(仕訳の内容を項目ごとに分け、元帳に記憶(記録)します。)


    ↓


(4) 試算表の作成(一定期間たったところで、元帳の記録の状態の一覧表を作ります。)


    ↓


(5) 貸借対照表・損益計算書の作成


               となっています。



注.(1)〜(2)が毎日、帳簿をつける作業としてくり返されます。


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© 2006 Yukio Yoshikawa