第2回〜「簿記」の取引について(2)〜 |
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1級ファイナンシャルプランニング技能士CFP認定者吉 川 幸 男 |
答え(3),(4),(5),(6),(8),(9),(10)
いきなり問題でとまどわれましたか?
ごめんなさいネ。
でも、あなたの目の前で起こっていることが、簿記の取引になるか、ならないかは、それを帳簿につけるか、つけないかを区別することになるわけですから、大変重要なことです。
しっかり勉強して下さいネ!
簿記の取引になるか、ならないかを判断するうえでのポイントは最初に申し上げたように、財産を増加させたり、減少させるようなことが、起こったか、起こっていないかです。
それでは(1)から順に説明していきます。
(1)は、簿記の取引にはなりません。
Aさんを従業員として雇うことになったのですが、Aさんは、まだ働いていませんよね。
したがって、給料を払うわけではありません。
また、問題文から判断すると、雇い入れの際になんらかの金銭を支払った雰囲気もありません。
ということは、財産の増減はありませんから簿記の取引にはなりません。
(2)も簿記の取引にはなりません。
駐車場を借りる契約をしたのですが、駐車場の使用料を支払ったわけでは、ありません。
したがって、財産の増減はありませんから簿記の取引にはなりません。
契約という行為は、一般的には取引と呼びます。
しかし、簿記においては財産の増減を伴わない限り取引にはなりません。
さて、(3)はどうでしょうか?これは、簿記の取引になります。
(2)と同様に契約という行為をしています。
(2)との違いは、手付け金を支払っていることです。
お金を支払っているわけですから、財産が減少していますね。
したがって、簿記の取引となります。
(4),(5),(6)は一般的に取引とは呼びませんよネ。
簿記のうえではどうでしょうか。
すべて取引となります。
まず(4)ですが、自動車を盗まれてしまい、もう手許にないわけですから、財産が減少しています。
ですから簿記の取引になります。
(5)も同様に火事で事務所がなくなってしまったわけですから、財産が減少しています。
したがって、簿記の取引になります。
(6)は、商品がネズミに食べられてしまい売れなくなったわけですから、商品としての価値はもうありません。
財産が減少しました。
簿記の取引です。
次は(7)です。
これは一見、取引になりそうですが、簿記の取引になりません。
商品を注文したのですが、手許に商品が着たわけではありません。
取引先に注文した商品がないことも考えられますし、注文を取りやめることも可能です。
これでは、財産の増減があったとはいえません。
したがって、簿記の取引には、なりません。
(8)は、簿記の取引です。
手許にあった商品を売却したわけですから、売上代金も入ってくるでしょうし、何よりも商品は、取引先のものになってしまいました。
財産の増減があったわけですから、簿記の取引になります。
(9)も簿記の取引です。
従業員に給料を支払ったわけですから、財産が減少します。簿記の取引です。
最後の(10)も取引です。
銀行からお金を借りたわけですから、まず借金というマイナスの財産が増えます。
そして借りたお金は、返す約束の日まで、借りた人のものですから、現金というプラスの財産が増えます。
したがって、簿記の取引になります。
さあ、わかりましたか?
みなさんの身近でおこっていることが、簿記の取引になるか、ならないか判断してみて下さい。
きっといい勉強になると思います。
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© 2006 Yukio Yoshikawa