第6回〜決算〜

1級ファイナンシャルプランニング技能士

CFP認定者

吉 川 幸 男


今回は決算についてお話しします。

決算という言葉は、一般的にもよく使われます。

「〇〇の総決算」なんて使われ方しますよね。

この場合の決算という意味は「集大成」という言葉に置き換えることができると思うんですが...


簿記で決算という場合、どういう意味があるのでしょうか?


第1回「簿記の目的と作業の流れ」でお話ししたように簿記の最終的な目的は「貸借対照表」「損益計算書」を作成し、いろんな人(会計の用語で利害関係者と呼びます。)に報告することです。

「貸借対照表」「損益計算書」などを決算書と呼び、この決算書を作成するための一連の作業を決算と呼びます。


さて、決算はいつするのでしょうか?


第4回に出てきた「仕訳」第5回に出てきた「元帳転記」は、原則として毎日行われる作業です。

また、第5回に出てきた「試算表」は、原則として1月ごとに作るものです。

これに対して決算は、決算期(現在は、普通1年)ごとに行われます。

普段お目にかかることができない、しかし、とっても大きなイベントが決算なんです。

なんと言っても、日々積み上げてきた地道な努力の集大成が、決算なんですから!


ところで一口に決算と言っても、いろいろな作業が行われます。

決算期中に行った、それぞれの仕訳が正しく行われているかの見直しをすること、各勘定科目の残高を客観性を持たせ、試算表上の資産、負債の各勘定科目の残高を確定することなどです。


具体的な例として「棚卸」があげられます。

「棚卸」とは、決算期末にある資産を一つ一つ現物をチェックし、帳簿上の残高が正しいかどうか確認します。

(ただし、実務上では「商品」「製品」「原材料」などの決算期末の現物チェックのことを「棚卸」と呼ぶ場合が多いようです。したがってこの様な資産を棚卸資産と呼ぶこともあります。)

「決算処分セール」と呼ばれるバーゲンは、棚卸の時の手持ちの商品を減らすために、早く処分すべき商品を安く売るものです。

商品を減らすことによって、棚卸の作業は、ずっと楽になりますから。


こうした作業を行っていく過程で、これまでに行った処理の訂正を行う必要が生じる場合があります。

この場合に行う仕訳を「訂正仕訳」と呼びます。

このような訂正仕訳を少なくするためには、月々の試算表を作成するときに、内容のチェックをしておくことが大切です。

何事もやりっぱなしは、よくありません。


また、決算の時だけ発生する特別な取引もあります。

「減価償却」がその代表的なものです。

「減価償却」とは、資産を使うことによって生じた、価値の減少や時間の経過によって生じた価値の減少を見積もり、費用とすることをいいます。

この様な決算の時だけ特別に発生する仕訳を「決算修正仕訳」と呼びます。

(前に出てきた「訂正仕訳」と合わせて「決算修正仕訳」と呼ぶ場合もあります。)


そして「訂正仕訳」と「決算修正仕訳」を決算期の最終の「試算表」に反映させることによって、「貸借対照表」「損益計算書」が作成されるのです。


こうした決算の一連の作業を毎月行う場合があります。

これを「月次決算」と呼びます。

ある程度の規模の会社であればこの「月次決算」を行っている場合が多いと思います。

「月次決算」の目的は、正確な月次の利益を把握することによって、今後の経営に役立てることです。


さて、いよいよ次回は、「貸借対照表」「損益計算書」についてご説明したいと思います。


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© 2006 Yukio Yoshikawa